ロタウイルス感染症の予防接種
更新:2022年3月15日
ロタウイルス感染症とは
ロタウイルスによる胃腸炎は、世界のどこでもみられる、主に5歳未満の乳幼児に多くみられる急性胃腸炎の原因ウイルスです。主な症状は下痢・嘔吐・発熱などで、ときに脱水、けいれん、肝機能異常、腎不全を、稀ですが急性脳症等を合併することがあります。年齢にかかわらず何度でも感染発病しますが、乳児期での初感染が最も重症で、その後感染を繰り返すにつれて軽症化します。この最初の感染を防ぐことを最大の目的として、乳児早期にワクチン接種を行います。
副反応
主な副反応は、下痢、嘔吐、胃腸炎、発熱などで、まれにおこる重大な副反応として、アナフィラキシーがあります。また、接種後、1~2週間は、腸重積症のリスクが高まる可能性があります。接種後、特に初回接種の1~2週間以内に、腸重積症症状(ぐったりする、顔色が悪い、繰り返し起きる嘔吐、突然激しく泣く、繰り返す不機嫌、血便、お腹の張り、高熱)が見られた場合は速やかに診察を受けてください。
※腸重積症とは
腸重積症とは、腸が腸に入り込み、閉塞状態になることです(下図)。0歳児の場合、ロタウイルスワクチンを接種しなくても起こる病気で、もともと、3~4か月齢ぐらいから月齢が上がるにつれて多くなります。早めに接種を開始し、早期に接種完了させましょう。
腸重積症の図
接種方法
ロタウイルスワクチンは経口投与です。哺乳後は嘔吐をする可能性があるため、接種後30分程の間隔を開けてから授乳することをお勧めしています。また哺乳は、接種を受ける1~2時間前までに済ませて、少し空腹感のある方がワクチンの接種を受けやすいと考えられます。吐き出した場合でも、追加の投与は必要ないとされています。少量でも飲み込んでいれば一定の効果があることや、2回または3回の複数回接種をすることとなっており、一連の接種で効果が期待できることなどから、吐き出した場合でも1回の接種と考えてください。
ワクチンには1価生ワクチン(ロタリックス)と5価生ワクチン(ロタテック)があり、いずれのワクチンも、ロタウイルスに対する予防効果が示唆されています。
それぞれのワクチンについて、接種回数や接種量が異なるため、接種完了まで、最初に受けたワクチンと同じワクチンを接種してください。
*なお、このワクチンは、ロタウイルス胃腸炎の発症そのものを7~8割減らし、入院するような重症化予防に効果があります。ただし、ロタウイルス以外の原因による胃腸炎には予防効果を示しません。
接種スケジュール
ロタリックス(1価)、ロタテック(5価)ともに、初回接種は、生後2か月から出生14週6日後までに開始しましょう。生後15週以降の接種は、週齢が高くなるにつれて副反応である腸重積症の発症リスクが増加します。
*出生日の翌日を出生0週1日後として考える。
- ロタリックス(1価)のスケジュール
接種時期:出生6週0日後から24週0日後
27日以上の間隔をあけて2回
- ロタテック(5価)のスケジュール
接種時期:出生6週0日後から32週0日後
27日以上の間隔をあけて3回
- 標準的な接種スケジュール
ロタリックス・ロタテックともに、初回接種は生後2か月から出生14週6日後までに完了させましょう。
予診票について
接種間違い防止のため、ロタウイルス感染症予防接種予診票はこども手帳に2枚のみ挟んで配布しています。
ロタテックを受けるお子さんにつきましては、4か月児相談や郵送で追加の予診票をお渡しします。